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三重県のローカル線 −名松線−

  名松線の車窓から見る沿線風景


 桜の花が満開の季節(2008年4月8日)に、JR東海の「青春切符」を片手に名松線に乗る旅に出かけてみた。松阪駅から一両編成のディーゼルカーに乗って終点の伊勢奥津駅に行き、帰路に、伊勢竹原駅で降りて君ヶ野ダムの桜を見て歩く、楽しい旅であった。この間に、ディーゼルカーの一番前の窓から、あちこち桜の咲く沿線風景を撮影した。ディーゼルカーに乗った気持ちになって写真をご覧下さい(伊勢奥津駅から松阪行きの列車に乗って撮影)。
 

 (写真をクリックすると拡大します)

桜が満開の時期に名松線に乗って里山風景を満喫した。ソメイヨシノの並木があちこちに見られた。

 松阪駅から名松線に乗ると、しばらくは、伊勢平野の平坦な土地を走るが、家城駅を過ぎる頃から、小高い山あいの雲出川沿いの軌道に入る。

 ここからは、雲出川の上流部分が見え隠れし、里山の風景が眺められる。

 日頃、新幹線や幹線鉄道などの速い乗り物に乗っている人にとって、各駅で停車しながらゆっくり走る名松線の車窓から眺める里山風景は面白く、特に、春の桜の季節には十分に楽しめると思う。

 今回掲載した写真は、2008年4月8日のもので、まさに、桜が満開で良かった。秋の紅葉の季節、新緑の季節にも乗ってみたい。

 名松線には、かつて蒸気機関車が走っていたが、現在はディーゼルカーが走っている。運転席の脇の窓から、前面が180度開けた視界の中に、線路のある景色を見ながら走るのは、座席の車窓から片側だけの景色を見るのとはまた違った面白さがある。ディーゼルカーの前面の景色を眺めながら進むと、意外にスピードがゆっくりと感じられる(実際にも遅いのだろうか)。

 また、軌道上にイノシシなどの獣の姿がないか、見通しの悪いカーブの先に危険がないかなど、運転士の緊張した気持ちになって、警笛を聞きながら景色を眺めたり、写真を撮ったりすることは、子供だけでなく大人でも結構楽しい。

 名松線のゆっくり感、里山の風情、2時間に1本しか走らないのんびりした運転間隔など、休日にスローライフの気分を味わいたい方にはお勧めの旅である。

 筆者は、JR東海の青春切符で名松線に乗って君ヶ野ダムの桜を見に行こうと思い、まずは、終点の伊勢奥津駅周辺を見て、そこの食堂かコンビニで昼食をとろうとした。しかし、伊勢奥津駅はターミナル駅ではあるが、食堂、コンビニはおろか、開いている店がなかった。こちらへは、弁当持参で来た方がよさそうだ。

 伊勢奥津駅の周辺には古い家並みがあり、住人が多いのに、八百屋も魚屋もなく、特に、お年寄り世帯などは日常生活に不便を感じておられるのではないかと感じた。


 名松線が走る美杉町には、南北朝時代には南朝方を支え、戦国時代には伊勢の国司として南勢地域を支配した北畠氏の本拠地があったので、多くの史跡がある。また、三多気の桜君ヶ野ダムの桜などの桜の名所もあり、脚を鍛え、健康増進を図るためのウオーキングコースには事欠かない。今後、いろいろな情報を紹介していきたい。

  
山の麓の集落。寺の境内に植えられた桜が満開だ。手前には雲出川が流れている。伊勢竹原駅近くの真福寺。
君ヶ野ダムが遠くに見える。近景は茶畑。間もなく伊勢竹原駅に到着する。
三重県は全国第3位の茶の産地であり、伊勢茶という銘柄で販売されている。河岸段丘に茶畑が多い。
津市美杉町の山の多くは杉の人工林で覆われている。写真は、伊勢八知駅近くの「美杉木材市場」。杉の丸太があちこちに積まれている。
名松線の軌道は1級河川の雲出川沿いか、その河岸段丘を走っている。
カーブの多い山間を走る名松線。
線路脇の杉林。この杉林は枝打ちがきれいにされているが、まだ、間伐は行われていない。
名松線のディーゼルカーが狭い鉄橋を渡る。伊勢奥津駅から家城駅までの間、ディゼルカーは雲出川本流を11回、このような鉄橋を渡って走る。
名松線の終点、伊勢奥津駅。線路の先には、かつて走っていた蒸気機関車用の給水塔が残っている。
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